JOURNAL
ミッドフットシューズに使われている『エコレザー』について
2021/12/22
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ミッドフット担当の岡田です。
靴や鞄などの服飾品、手帳カバーや小物入れなどの雑貨品には当たり前のように動物の革が使われています。しかし環境へ配慮する時代に変化に伴い、少しずつですが皮革産業にもエコ、サスティナブルの動きが出てきています。その一つとして『エコレザー』と呼ばれている素材があります。実はこの素材はミッドフットシューズのレザーシリーズに一部取り入られているのです。
(E-Leather Classic Walkの一部分に採用しております)
身体や健康の話とは少し離れますが、今回はこのエコレザーをご紹介したいと思います。
合わせてレザーシューズのお取り扱いについてもお伝えします。
エコレザーってどんな革?
革の製造、輸送、販売、再利用の一連のサイクルの中で環境負荷を減らし、環境面への影響が少ないと認められた革の呼称です。具体的には下記の様な基準が設けられています。・天然皮革である事。
・発がん性染料を使用していない事。
・有害化学物質の検査をしている事。
・排水や、廃棄物処理が管理された工場で作られている事。
・臭気、染色堅牢度が一定の基準満たしている事。
エコという言葉のイメージでフェイクレザー(合成皮革)を想像する方がいらっしゃいますが、エコレザーは正真正銘の動物の革から出来ています。革ではない材料から作る素材には非動物性の『ヴィーガンレザー』という物があります。動物性の物を使用せず、人工的に革の繊維構造を再現した素材の事を言います。
ミッドフットシューズの革は植物由来の鞣し方です
『皮』から『革』になるためにはまず『鞣し(なめし)』という工程を経る必要があります。鞣すというのは、皮のコラーゲン層から不要なたんぱく質を取り除いて加工する事を指します。獣の皮を暮らしに役立てるため石器時代から始まった手法です。現代ではこの鞣し加工は主に2つの加工法が御座います。・植物タンニン鞣し
タンニンとは植物に含まれる水溶性の化合物です。ポリフェノールの一種でもあるタンニンは、不要なたんぱく質を取り除きコラーゲン層を安定した状態にしてくれます。この加工方法は古代人が獣の油を染み込ませて柔らかくする、更には燻して腐敗を防ぐなどの試行錯誤で磨かれた技術の集大成で発見された方法でした。現在でもこの加工法は採用されています。しかし多くの行程と時間を要するため、現在では100%植物タンニンで作られている革は世界生産量の数%しか残っていません。・クロム鞣し
クロムと呼ばれる化学薬品を使った加工です。時間と手間がかからないのでコストも安く、現在流通している皮革製品のほとんどがクロム鞣しを採用しています。ミッドフットのレザーは『植物由来』の加工で作られています。鞣しに使われている植物は『ミモザ』です。特性としては革に膨らみが出る事で比較的柔らかい質感に仕上がります。また足の健康の側面から『カラダにもやさしく』にこだわりたく、環境面に配慮した厳しい基準をクリアしたエコレザーの物を一部採用致しました。是非皆様にも一度お手に取って感じて頂きたい次第です。
エコレザーの特徴
植物タンニン鞣しのレザーは革本来の表情を活かした仕上がりにする場合が多いです。ミッドフットシューズのレザーは柔らかく、また表面の塗膜を少なめにしているので、長く履くと履くなりのシワが寄ってきます。革は天然素材なのでこのような変化が出るのは自然な事です。ただ柔らかい素材の特性上、シワも戻りやすいので比較的深く残る事はないと思います。
エコレザーのお取り扱いについて
ミッドフットシューズのエコレザーのお取り扱いは特に難しい訳では御座いません。基本的な革素材のお取り扱いに従ってメンテナンスしてください。
① まずは革に着いた汚れを落とす
まず毛先がやや硬めのブラシで靴に付着した土やほこりを払い落してください。その後、革靴用クリーナーを少量だけ布に着けて革の表面を拭いて付着している汚れをふき取ります。
(起毛素材やキャンバスになっている箇所はその部分にクリームが着かない様にご注意ください)
② 最後に革へ栄養補給をしてあげる
靴クリームを柔らかい布に少量取り、革全体にムラなく伸ばしていきます。布を人差し指にきちっと巻き付けて、その先にクリームをつけて塗布するのがお勧めです。2~3分置いた後、表面に残っている余分なクリームをふき取ってください。
艶出しにはクリームタイプとワックスタイプがあります。前者は革に浸透しやすく、後者は艶が強めに出やすい特徴があります。取扱いの側面からミッドフットシューズの様な靴種にはクリームタイプがお勧めです。起毛素材はブラッシングで汚れを落とし、毛並みをそろえる事だけが多いですが、汚れが目立つ場合は、スエード専用の汚れ落とし用消しゴムを使うと良いと思います。
③ 保管について
靴の保管は室内の風通しの良い所を選んでください。下駄箱に収納する場合は湿気が靴の劣化に繋がる可能性もあるので、適度に下駄箱から出す又は乾燥剤をいれてカビ対策をしてください。④ 革靴は雨の日には履かない様にしましょう
黒色や濃い色の物、表面を厚い塗装膜で覆っている様なものは多少の雨は大丈夫です。しかし薄い色の物はシミになりやすいので雨の日のご使用は避けてください。
レザーシューズは履きこむほどに馴染んで履きやすくなり、革の種類によっては経年変化による色の深みを楽しむことが出来るのが魅力です。
そして丈夫な事もメリットでもあります。
弊社は創業から約70年、革靴を作り続けてきたメーカーです。
熟練した職人が作り出した革靴の魅力も多くの方に知って頂きたいと願っております。